タロットの仕組みを考える/タロットに外れはない
こんなことを言うと元も子もないかもしれませんが、私には特殊能力はありません。ここで言う特殊能力とは、霊視、動物と会話をすること、高次元存在の声を聴くといった能力を「自発的に使える」と言うことです。「たまたま見えてしまった」ではなく、見ようとして見えること。聴こうとして聴けること。
私は「見えてしまった」「聴こえてしまった」「インスピレーションが降りた」というような感覚に陥ることはありますが、それらを自主的に使おうと思って使うことはできません。私が行うのは、いわゆる「霊視タロット」ではないということです。
それにもかかわらず、ご相談者さまによっては「当たりすぎていて怖い」と仰られることがあります。私はタロットのメッセージを読んでいるだけなので、当たっていると言われると私自身もびっくり仰天なのです。
タロットを扱う者として、私は「なぜタロットは当たるのだろう」ということについて、自分なりの答えを考えてみることに。結論「タロットに外れはない」という考えに辿り着きました。
これは私個人の考えですので、他の占い師さんとは異なるものかもしれません。正しい・誤りという視点ではなく、あくまで1つの結論としてお楽しみいただければ幸いです。
タロットは
「状態」に共鳴する
状態とは
「波動」と呼ばれているもの
スピリチュアルに親しみのある方には「波動」という言葉の方が伝わりやすいかもしれません。スピリチュアルな「波動」の考えには「全てのものはエネルギーを発している」という前提の考えがあります。
動物、人間、植物、石、スマホ、マグカップ……生物・非生物にかかわらず、この世界にあるものは全て「素粒子」から構成されていると考えられています。素粒子は常に振動しているため、この世にある全てのものは振動するエネルギーを発していると考えられます。そして、そのものが発する振動エネルギーは周囲に伝播し影響を及ぼすと考えられています。
スピリチュアルな考えの中で、その振動するエネルギーが「波動」と表現されます。
個人的な考えとして、私は波動を「状態」と表現させていただきます。「波動」というと大袈裟な気がして、「状態」の方がより親しみやすいかなと感じるためです。
世界は人によって異なる
私たちは地球に生きていて、日本という国に住んでいます。同じニュースにアクセスできますし、世界で起こる出来事を共有できます。
しかし、同じものを共有しているはずなのに、人はそれぞれ見ているもの・聴こえているものが異なるのです。それは人それぞれの思考が異なることも理由なのですが、そのほかに「その人の状態によって世界が異なる」とも考えられます。
これはインターネットの世界で考えるとわかりやすいかと思います。Google・Youtube・SNSなどでは使う人の趣味趣向によってパーソナライズされており、「あなたにおすすめ」と表示されるものが人によって異なります。動物が好きな人には動物のこと、グルメが好きな人にはグルメのこと、ビジネスに興味のある人にはビジネスのこと…このように、インターネットの世界では人によって見えている・触れる世界が異なります。これは現実世界でも同じです。
昔から「類は友を呼ぶ」と言われていますが、現実世界でもその人の状態によって身を置く環境や出会う人が異なってきます。そして、幸せな状態だと世界はバラ色に見えるのに、悲しい状態だと何を見たって灰色に見えるといった感覚も。同じ世界に生きているはずなのに、その人の状態によって世界が変わるのです。「その人の状態と共鳴して世界が創られる」と言えます。
タロットは人の状態と共鳴して示される
タロットは使い手・相談者さまの状態と共鳴し、メッセージを示します。
タロット相談を承る時、タロット・私・相談者さまの3つの波動が共鳴します。タロットの使い手によって導き出されるメッセージが異なるのは、使い手の状態(波動)が人それぞれ異なるためだと考えています。
状態が変われば
タロットが示す未来も変わる
嬉しい日もあれば悲しい日もあるように、状態は変わるものです。今日示された未来が絶対ではなく、質問者さまの状態が変われば未来も変わります。未来だけでなく、過去や現在も同じことです。そのため、タロットが示す結果は絶対ではないのです。
「タロット占いは3ヶ月くらい期間を空けた方がよい」と言われることがあります。また、タロットは遠い未来より近い未来(向こう3ヶ月くらい先まで)について聴くのに適しているとも言われます。
これは「3ヶ月」という期間に意味があるわけではなく、その質問者さまの状態が変わったと感じた時にタロットに聴いてみることで「状態の変化」を確認できる、ということが重要に思います。
時間の概念について
時間は「流れていない」
という考え方
先ほど「状態が変われば未来が変わる」というお話をしました。これは時間の考え方とも関係があります。
私たちは日常的に「時間は過去から未来へと流れている」と感じています。しかし、時間は流れているものではない可能性もあります。
それは「パラパラ漫画」のように、時間はその瞬間瞬間の場面が「点在している」ものかもしれません。私たちはパラパラ漫画をめくっているように世界を見ているので、時間が一方向に進んでいると感じているのかもしれません。
並行世界があるという考え方
この記事を書いている私は1人しかいません。しかし、私という人間の可能性を考えれば、弁護士になっていた可能性もありますし、アイドルになっていた可能性もあったかもしれません。そもそも、男性に生まれた可能性もありました。
しかし、私が認識する現在では、私はタロット使いであり、この記事を書いている世界のみしかありません。実は、計算上ではこの世は1つではなく、幾つもの可能性の時間軸が並行して存在していると考えられるそうです。それは並行世界、並行現実、パラレルワールドなどと呼ばれます。
RPGゲームをイメージするとわかりやすいかと思います。主人公の私が「進む」「戦う」「逃げる」「話しかける」などの選択をすることで、ゲームの物語は進んでいきます。選択によって物語は変わってきますが、ゲームの構成には「どの選択肢のストーリーラインも存在している」のです。
ゲーム原作のアニメ「シュタインズゲート」をご存知の方には「世界線」という言葉が馴染み深いかと思います。シュタゲは大雑把に説明すると、主人公岡部が「まゆしぃもクリスも世界も救える未来」に辿り着くために、何度も何度も世界線=並行世界を移動していくという物語です。この作品から「世界線」という言葉が普及したそうです。普段私たちは並行世界を意図して行き来することができませんが、知らず知らずのうちに世界線を移動しているのかもしれません。それは自身の「選択」によって世界線の移動が起こっているのかもしれませんし、意図せず違う世界線に移動してしまう体験をしている方もおられるそうです。
タロットは
並行世界に点在する
可能性を示す
「タロットは状態に共鳴する」
「時間は一方向に流れているものではなく点在しているものである」
「この世は1つではなく並行世界がある」
この3つの考えから「タロットは状態に共鳴し、並行世界という物語の可能性の中から、この世界に点在する時間の「場面」を示す」という仕組みであると考えられます。
タロットは
「繋がる道具」である
情報の源があるという考え方
「アカシックレコード」
「宇宙の源(みなもと)」
「ワンネス」
スピリチュアルに親しみのある方には馴染み深い言葉かと思います。これらはそれぞれニュアンスが異なりますが「大元がある」という考え方で共通しています。
この宇宙には、過去も未来も、あらゆる可能性も、真理も、すべての情報の「源」が存在する。そして、私たちは個々の思考があるけれど、全ては大元である源で繋がっている。そういう考え方があります。
タロットを通じて源と繋がる
スピリチュアルの世界では「チャネラー」と呼ばれる方がおられます。「チャネリング」という行動によって、「ハイヤーセルフ」「高次元存在」などの別次元の意識や存在と繋がる方のことです。
タロットも同じように、並行世界や時間の場面などの情報源と繋がるためのツールであると考えています。タロットという物を通じて「源」から情報を聴くということです。
チャネリングは「別次元にチャンネルを合わせる」こと、タロットの場合は「タロットとして示されたメッセージを読み取る」ことから「リーディング」と言われます。似て非なるものですが、仕組みとしては同じなのではないかと思います。
冒頭にお話ししたように、私にはこの身ひとつでチャネリングする能力はありません。そのため、タロットを通じて源とアクセスする「リーディング」を行っているのだと認識しています。
どのカードが出ても当たる
タロットは
人生の旅を描いた物語
タロットカードにはそれぞれ意味深なイラストが描かれていますよね。もともと貴族の遊戯カードであったとも言われていますが、特に「ライダー版」と呼ばれるデッキでは、タロットは人生の旅を表現しているという考えがあります。
タロットは大アルカナと小アルカナで構成されています。大アルカナはゼロ番の「愚者」から21番の「世界」まで、愚者が世界に到達するまでの旅であると考えられます。小アルカナは4つの絵柄ごとに14枚1セットが4種類あり、それぞれ1番目の「エース」から10番目までがストーリー風に描かれています。
カードそれぞれに象徴的な意味が込められているのですが、人生の中で私たちが共通認識として持つ出来事や感情が描かれています。なので、どのカードが出ても「その気持ち、その場面、わかる!」と当てはまるものだと私は思っています。
タロットカードはどのカードが出ても当たっているように感じると言えるのです。
タロットは
「意味を見出すもの」
タロットカードのメッセージが的外れに感じることも大いにあります。私自身、リーディングする際に「何のこと?」と疑問に思うカードが出ることも多いです。
タロットは「状態」に共鳴すると述べました。 ある決められた場所にそのカードが示されるということは偶然ではなく「必然である」と言えます。なので、的外れに思えても、それは「出るべくして出たカード」なのです。
これは神社の「おみくじ」と同じだと私は考えます。数あるメッセージから1枚を引き当てる。それは「その時の自分と共鳴した1枚」であり、それが神様からのメッセージである。タロットの1枚引きと似ています。おみくじには文章でしっかりメッセージが書いてありますが、タロットはリーディングしなければメッセージがわかりません。タロットの場合、メッセージを言語化する使い手を選ぶところから「共鳴」「必然」が始まっているのかなと思います。
私はタロットを「当たる・外れる」で捉えるのは勿体無いのかなと感じています。外れたように思えてメッセージを無視してしまうのは勿体無い。後から「このことだったのか!」と気付くことも多々あります。そのカードが出るべくして出た意味を「見出すこと」がとても重要であると私は考えています。極論を言えば「タロットは外れることはない」と言えます。しかし、使い手がどのように言語化するかによって、源のメッセージから逸脱してしまう恐れがあります。私には源のメッセージをより正確にお届けする責任があります。
「何のこと言われているのかわからない」と感じることもあるでしょう。しかし、タロットは「出るべくしてそこに出ている」のです。そこで終わりにせず、ぜひそのメッセージについてご自身の中を内観して見てください。