狼と狐から謙虚さを思い出す/熱海来宮神社

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先日、熱海市にある来宮神社を参拝しました。「パワースポット」として大変人気の神社であり、以前からなんとなくはその存在を知っておりました。何気なく調べていると、来宮神社の境内には三峯神社が末社として祀られていること、さらに伏見稲荷大社よりお迎えされた稲荷社があることを知り、格段に興味が湧いたのです。

熱海 来宮神社

熱海の来宮神社は、現在全国44社のキノミヤジンジャの総社として信仰を集めているそうです。古くから「来宮大明神」と称し、来福・縁起の神として信仰されてきました。

御祭神は、武勇と決断の神さま「ヤマトタケルノミコト」、樹木と自然保護の神さま「イタケルノミコト」、営業繁盛と身体強健の神さま「オオナモチノミコト」。

“くるみや”と書いて「きのみや」と読むのが不思議だなぁなんて思っていましたが、境内には国指定天然記念物に認定されている御神木「大楠」があり、「木の宮」という連想もできるなぁと思いました。

この御神木は樹齢2千年を超えているそうで、圧巻の存在感です。健康長寿や心願成就にご利益があるとされ、心に願い事を秘めながら幹を1周回ると「寿命が1年延びる」「願い事が叶う」などの伝説も。家に帰ってからその伝説を知ったのですが、その生命力とスケールに圧倒された私は、ただ圧倒されたまま思わず1周していました。

公式ホームページには下記のように記されています。

悩みを抱えたり願いを叶えたいとき、この大楠の前で手を合わせて祈ることで自分自身をも見つめ直す良い機会となります

熱海 来宮神社ウェブサイトより抜粋

ご利益や作法だけでなく、その行為が自分自身と向き合う機会となること。これはタロットにも共通する考えだと思いました。

三峯神社

本殿と大楠にご挨拶をし、いよいよお目当て(失礼)の三峯神社末社へ。

三峯神社の由緒は古く、ヤマトタケルノミコトがイザナギノミコト・イザナミノミコトをお祀りしたのが始まりと言われているそうです。来宮神社の御祭神にヤマトタケルノミコトがおられますから、その繋がりなのでしょうか?

三峯神社は埼玉県秩父市の大滝地域、麓から山を登った標高1100メートルに所在しています。この地には昔ニホンオオカミが生息していたそうです。ニホンオオカミはジブリ映画「もののけ姫」の犬神モロ(黙れ小僧!)のモデルだそうですね。

三峯神社の御眷属(神使)は狼。眷属と聞くと、狛犬や稲荷社の狐さんをイメージしますね。三峯神社の御眷属、つまり神さまのお遣い的存在が狼さんなので、狛犬ならぬ狛狼が社の両サイドに鎮座されています。

狛犬よりもスッとしたシルエットで、狐さんよりもワイルドなお顔。三峯神社御眷属の狼は「大口真神(おおぐちのまがみ)」と崇拝され、親しみのある「お犬さま」「山犬さま」などとも呼ばれているそうです。おおぐちのまがみ…略しておおかみ?

お犬さまはヤマトタケルノミコトの道案内を務めたと言われています。害獣除け・火事の予防・盗難除け・災難除けと、狼らしいパワーの信仰があるとされています。

狼信仰は山岳信仰と結びついているそうです。太古の昔、この地の人々にとって、狼は身近な存在だったのでしょう。その美しさや強さに畏れと尊敬を感じ、神さまの化身や遣いなのだと思ったのかもしれません。もしかすると、なんらかの形で人との共生もあったのかもしれませんね。

稲荷社

こちらは伏見稲荷大社からお迎えしたという稲荷社です。伏見稲荷を彷彿とさせる、連なる鳥居が社へと誘います。

お社です。稲荷神社の両サイドに鎮座する白狐さんたちは、各神社によって個性的だそうです。

「知恵」を象徴する巻物をくわえ、「宝珠」の玉?を手にしています。

鍵?のようなものをくわえています。鍵で正しければ、「富貴」「豊穣」を象徴する稲蔵の鍵だそうです。「子宝・安産」を象徴する小狐ちゃんと一緒です。

謙虚さを忘れてはいけないね

ニホンオオカミは20世紀初頭に絶滅したとされています。種が絶滅するのも自然の摂理ではありますが、もしそれが人間の影響であるのならば、私たちは営みに謙虚さを持たなくてはいけません。一方、稲荷神社は豊穣の神さまです。私たちは毎日、自然を享受して美味しいご飯を食べ命を繋いでいます。自分たちのノウハウで農作物が育っている気になってしまいますが、すべては大自然の力を借りているに過ぎません。私個人の思想として、山は人間の場所ではないと考えています。呼吸ができない海なんて、なおさらです。山の幸、海の幸、自然の幸を享受することへの謙虚さと感謝を、日々忘れてはいけないと改めて思いました。

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