アボリジナルの思想について/ソングライン・ドリーミング・虹蛇など

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先日の夕暮れに、久しぶりに虹を見ました。音もなくひっそりと掛かる7色の光は、視界に入った時に「アッ!虹だ!」と激しく感動します。

その美しさと偶然性からか、虹は世界各地に根付く信仰の中でスピリチュアルな対象となっています。

虹について調べていると、オーストラリアの先住民アボリジナルが信仰する「虹蛇」と、彼らの「ドリームタイム」などの思想に辿り着きました。

この「ドリームタイム」の思想はタロットとも共通する概念だと思い、そのほかの思想もとても興味深く感じました。

この記事では、アボリジナルの信仰や思想についてまとめました。

《トピック》

・ソングライン
・輪廻転生
・時間/意識/空間の概念
・虹蛇(レインボー・サーペント)
・ドリームタイム/ドリーミング
など

アボリジナルとは

アボリジナルはオーストラリアの先住民族の呼称です。「アボリジニ」という呼称の方が耳馴染みが良いかもしれませんが、現地オーストラリアでは差別的な呼称であると目にしましたので、この記事では「アボリジナル」と記します。

古代からオーストラリアで独自の文化を築きながら暮らしていたアボリジナル。そのルーツは、約5万年前(第4氷河期中頃)にアジア方面から移動してきた民族が起源だと考えられています。

「アボリジナル」と一括りに呼ばれますが、現在でも多数の部族が存在し、それぞれが独自の文化や言語を持っているそうです。言語に関しては、現在は英語を話す方が多いそうです。

アボリジナルの信仰

アボリジナルの文化は土地や家族との繋がりが特徴です。

祖先の魂は大地と空から生まれる。
祖先が偉大なる創造主である。
祖先の人生の旅を通じて
全ての生命が創造された。
いま祖先が歩いた道を歩いて
祖先と同じものを見る。
祖先、大地、人類は
繋がりの深い共同体である。

このような思想が文化の基礎です。

大地や空はとても神聖なものとされており、自然を崇拝し、精霊の存在が信じられています。聖地とされる場所は多数あり、エアーズロックもその1つです。

アボリジナルの言葉では「ウルル」と呼ばれるエアーズロックは観光名所として名高いスポットでしたが、アボリジナルにとっては一部の祭司以外は登ることを許されない神聖な場所です。アボリジナルの信仰への敬意と安全性の観点から、2019年10月26日より観光客の登山が禁止されました。

大地と空から生まれたのに
『祖先の人生の旅を通じて
 全ての生命が創造された』
とはどういう意味なのか。
次の項目
「ソングライン」と繋がってきます。

ソングライン

アボリジナル独自の言語には文字がなく、歌、芸術、踊りなどで教えを伝えてきました。

『この世は歌い出された世界、歌が命を吹き込む』という思想があり、オーストラリア全土に「ソングライン」という道が走ると考えられています。

ソングラインとは、祖先たちが歌で世界を創造しながら旅してきた道筋について、歌・踊り・絵画・物語などによって語り継いできた「目には見えない道」のことです。

それは長距離移動の道標として、そして生活の規範としての大切な遺産です。

祖先たちが旅の途中で出会うあらゆるものの
「名前を歌うことで世界を創ってきた」
(歌で命を吹き込んできた)
という意味で
「祖先が創造主である」
と考えているのではないかと思います。

歌によって祖先の見た世界を見て、 
祖先の生きた時を感じること。
この感覚は後述する
「時間の概念」とも繋がってきます。

輪廻転生

アボリジナルの信仰の中には輪廻転生の思想が強くあります。

『旅をすると足跡が残るように、肉体が滅びても人々のエネルギーやスピリットはその大地に残る』

という思想から、いま目の前にある大地に祖先を感じ、繋がります。

アボリジナルについての情報には
「旅」という言葉がよく出てきます。
祖先が旅をしながら暮らし、
語り継いできた世界。
旅をするという意味だけでなく、
生活を営むという意味も含めて
「旅」と表されているように感じます。
祖先から受け継いできた遺伝子の旅。
人生の旅。そんなイメージも持ちました。

時間・意識・空間の概念

アボリジナルには「時間は過去から未来へ流れる」という概念はないそうです。時間は流れていくものではなく、過去も未来も、昼も夜も、全ての時間が今同時に存在しているという考え方です。

アボリジナルは狩猟中心の民族とのことで、
種まきや収穫など
「時間の流れを感じる営み」
のある農耕民族とは異なる生活だったことも
関係しているかもしれません。

時間だけでなく、意識についても同じです。認識している意識(顕在意識)と、認識していない意識(潜在意識/無意識)、そのどちらもが同時に存在していると考えています。

この「意識」について興味深いのが、アボリジナルは「空間を距離ではなく意識として考える」という点です。距離や高さや、方向などが区別されないというところも大変興味深い。

時間・空間・意識・無意識・
人間・動物・自然・生・死・現実・夢……
すべてのカテゴリーが無視される世界。
それはまさに「夢」を見ているよう。
次の項目
「ドリームタイム」に繋がります。

ドリームタイム
/ドリーミング

日本に神話があるように、アボリジナルにも世界創造の神話が伝承されています。この神話を「ドリームタイム」と言います。

ドリームタイムには

・何もない頃の「始まりの時代」
・天地創造「創造の時代」
・現在に至る「伝承の時代」

の3部に分かれており、アボリジナルの宗教的概念の要となっています。

先ほど「時間は同時に存在している」と記したように、この3部すべてが今もなお継続していると考えられています。

アボリジナルの思想では、夢見(Dreaming)から実在(yuti/ユティ)が生まれ、森羅万象にはドリーミングがあると考えられています。

時間も空間も意識も、すべてが区別されず今ここにある。『植物とは種子が見た夢である』と言う考え方です。

夢が真実で、
感知しているこの世界は仮想……
映画『マトリックス』の世界観や
「ハイヤーセルフ」、
仏教の「空」の概念にも
通じるところがある思想に感じます。
ドリームタイムの思想には諸説あるそうで、ドリームタイムの「ドリーム」とは夢ではなく「旅・生活」の意味を表しているという意見もありました。個人的には上記の内容が魅力的だなと思い、主にご紹介しました。

虹蛇
/レインボー・サーペント

アボリジナルの思想の中で、虹は「普段は目に見えないものが可視化される」という視点によって特別視されています。

虹は「虹蛇/レインボー・サーペント/アボリジナルの言葉で『ンガルヨッド』」という精霊で、大地の守護者であり全ての生命の根源であると考えられています。

アボリジナルの神話『ドリームタイム』の中で、虹蛇は巨大な蛇として表現されています。虹蛇には雨を降らせる力、大地と生命を豊かにする力、洪水を起こす脅威などがあり、虹蛇が地面を這った後が谷や川であるとされています。

虹蛇のお腹の中には森羅万象が内包されていて、シャーマンが虹蛇を仕留めてお腹の中から動植物を解放したと伝承されています。虹蛇の伝説はオーストラリアだけでなく、北アメリカや西アフリカなどにもあるそうです。

過去、意識、祖先の魂、
そして、虹……
目に見えなくても、そこにあるもの。
不可視のものが可視化される虹は
「ドリーミング」の思想にも繋がります。

すべては同時に存在する

アボリジナルの「この世は歌い出された世界である」という考え方、とっても美しい。オーストラリアの雄大な大地に響く歌声を想像すると胸が震えます。

今回アボリジナルの信仰について調べ「ドリーミング」の思想を知ったとき、タロットリーディングにも共通する概念だと感じました。

「どうしてタロットで過去や未来、質問への答えが分かるのか」という疑問をお持ちの方もおられると思います。タロットがどうして当たるのかには答えがなく、占い師さんによっても考えが異なるでしょう。

個人的な思想として、私はアボリジナルのドリーミングの思想のように「すべての時間も可能性も、今現在に存在する」と考えています。

まだ見ぬ未来も、すでに過ぎ去った過去すらも、現在によって変わる。現在と関係している。「並行世界/パラレルワールド」とも言える、すべての時間と可能性が同時に存在するところがある。タロットを通じてその場所とアクセスしている。そんなふうに私は考えています。

「タロットはなぜ当たるのか」という仕組みについては、別記事にあらためてまとめたいと思います。

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